2013年12月23日月曜日

The aroma story -クリスマスによせて-

贈り物を抱えた人々がせわしなく行き交う季節がやってきました。澄んだ空気でいっそう街がキラキラして、慌ただしいけれど街全体にあふれるこのワクワク感は、クリスマスならでは。東京も華やかなネオンがあふれていますが、ヨーロッパの街を見ていると、クリスチャンにとってのクリスマスには特別な意味を感じます。

■ ドレスデンのクリスマスマーケット


今回はまず、数年前に訪れたドイツはドレスデンのクリスマスマーケットをご紹介します。


パリやニューヨークのような華やかさはないものの、静謐な感じ。


聖母教会前の広場にはこのようなお店がたくさん並びます。




ドレスデンのクリスマスマーケットは世界的に有名で、この時期になると日本でもツアーパンフレットができるほど。まるで日本の夏祭りの露店のように、小さな店々が並びます。お店には、ツリーや家の中で飾るオーナメントなど、クリスマスを迎えるためのグッズが所狭しと並びます。

アイテムを見てみると、キャンドルホルダーなどお手頃価格のかわいいグッズもあれば、テーブルクロスなど、露店といえど、かなりしっかりした素材と価格のものもあります。それでも日本で購入するよりずっと安く質の良いものがあったので、私はお手頃ゾーンから高級ゾーンにまで手を伸ばし、当然スーツケースはパンパンで帰ってきました。

普段アジア人はあまりいない街なので、クリスマスシーズンといえども日本人は珍しかったらしく、お店のおばちゃんと仲良くなって、ちゃっかりおまけをもらったり、楽しさ満点でした!



サンタさんが踊ってる〜!と思ったら、人形でした。



買い物に疲れたら、マーケットの中にあるスタンディングバーのホットワインでひと息。



カップも、めっちゃカワイイ。


■ 『東方の三博士』っていったい何者?


さて、やはり「美術館めぐり」のブログですから、クリスマスならではの絵をご紹介しましょう。

…で、世に数多ある同名の作品の中でもせっかくですのでドイツの画家を選んでみました。


アルブレヒト・デューラー『東方三博士の礼拝』(1504年)
(ウフィツィ美術館/フィレンツェ)



星の動きから、救世主イエス・キリストが生まれたことを知った三人の賢者が貧しい厩を訪れ、祝福をする場面です。ボッティチェリやルーベンスなど、数多くの画家が描いたテーマですが、そもそもこの賢者とか、博士などと呼ばれているこの人たちは一体何者なのでしょうか。そして、なぜわざわざオンボロの厩に仰々しく現れて、一体何をしているところなのでしょう。この絵と題名にはそんな疑問が沸き起こります。

まず、賢者あるいは博士と呼ばれているこの人たちはペルシャの「マギ」です。「マギ」とは占星術師のこと。しかし、彼らは現代の占星術師とは意味が違い、天候に左右されやすかった農耕社会を支える最先端の科学者であり天文学者なのです。

そんなお偉い先生方が、ある日、天文現象からこの世にユダヤの王が生まれたことを知ります。えらいこっちゃ、お祝いに馳せ参じなければ。ということで、星の導くままに訪れたのが、エルサレムの地。

まず一行は、この地を治めるヘロデ大王の元に行き、お祝いを述べ、ユダヤの王はどこにいるかと尋ねます。しかし、ヘロデ大王にとっては寝耳に水。ユダヤの王が生まれただと?王が自分あるいは自分の子孫以外であってはならない!と驚き慌てますが、何食わぬ顔で、予言者を招集し、場所を占わせ、ベツレヘムだと教えました。そして、私も拝みたいのでその子を見つけたらぜひ自分にも教えてほしい、と博士たちに頼みます。

こうして何も疑うことなく博士たちは頷き、ベツレヘムに向かいます。ヘロデ王の思惑に微塵も疑うことなく…

■ クリスマスプレゼントのルーツ


そして、博士たちが無事に到着し、贈り物をしている場面がこれらの絵に描かれているのです。

神の国の栄光を表す「黄金」を捧げているのが青年メルキオール、神性を表す「乳香」は壮年のバルタザール、受難と死を予感させる「没薬」は老人ガスパール、と後世になってそれぞれ名前までつけられています。ちなみに「没薬」を老人ガスパール博士が捧げている図が、たいていお約束。

三博士は、それぞれアジア、アフリカ、ヨーロッパの三大陸になぞらえているとの説もあります。(つまり世界中がイエス・キリストを救世主と崇めていると、キリスト教は言いたいのですね)


アルブレヒト・アルトドルファー『東方三博士の礼拝』(1530年〜35年)
(シュテーデル美術館/フランクフルト・アム・マイン)




さて、クリスマスプレゼントのルーツともいわれるこの贈り物たちについて見てみましょう。「黄金」はさておき、「乳香」「没薬」って何なんでしょうか。

実はこの二つ、現代のアロマテラピーにも欠かせないものなのです。

まず、「乳香」とは、別名フランキンセンスまたはオリバナムとも呼ばれます。フランキンセンスは、カンラン科の樹脂で、古代エジプトやインド、中国で古くからお香に使われてきました。

また細胞成長促進作用や収れん作用があるため(つまり新陳代謝を高め、引き締め効果があるということですね)古代エジプトでは美容にも用いられました。

現代でも、アンチエイジングコスメとして、商品化されているものもたくさんあります。(全く余談ですが、私も、化粧水、美容液、クリームすべてフランキンセンスのオーガニックコスメを愛用しています)

次に、「没薬」ですが、これは別名ミルラともいい、皆さんよくご存知のアレを作るのに古代エジプトで重用されました。

古代エジプトといえば…ピラミッド!と言いたいところですが、ここではミイラです。ミルラという名前からも想像できますね。

ミルラもカンラン科の樹脂ですが、殺菌、消毒、防腐作用に優れており、ミイラ作りにはもちろん、フランキンセンスと同様に古くからお香やスキンケアにも用いられてきました。

…というわけで、今回はいつか書きたいと思いつつ、なかなか実現しなかった絵画とアロマの意外な小話をご紹介させていただきました。

さ〜て、今宵もフランキンセンスのクリームをガッツリ塗って寝なくっちゃ〜♪



Frohe Weihnachten!
(メリークリスマス!)



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