2013年3月20日水曜日

ルーヴルの美女

さて、言わずと知れた美の殿堂、パリのルーヴル美術館には沢山の美女がいます。
ルーブルの美女、といえばまず挙げたくなるのがダ・ヴィンチの「モナリザ」かもしれませんが、私の場合、ちょっと違うのです。

陶器のように滑らかな肌、背中の美しさを強調するかのように捩った体躯、誘うような、微かに憂いを含んだ瞳。どこからともなく薫香が辺り一面に漂い、頭に巻いたターバンや、手に持った孔雀の羽根が、異国の未知の女であることを匂わせ、なんともそそられます(って私は男か)。

そう、この美女の住処が、ドミニク・アングル作『グランド・オダリスク』(1814年)


図々しくも、私がプロフィールで使わせていただいている美女でございます。
私はルーブルを訪れる度に、この美女に必ず会いにいきます。
まさに「美女詣(もうで)」。

オダリスク、とはトルコの後宮(つまりハーレムですね)に仕える女性のこと。
あらためて、オダリスクという言葉を辞書で調べてみると、「女奴隷、または寵姫」とあります。女奴隷と寵姫は真逆のようですが、いずれも君主の性の奴隷ということですね。

しかしこの美女、キレイなんだけど何かがおかしい。
腰が異常に長いような。伸びた腕も肘の骨張った部分がなく、ゴムのように長い。
これはアングルが、この体躯の美しさを強調するためにわざと取り入れた構図です。

デッサンの正確さに最も重きを置いたアカデミックな画家が、このような大胆な仕掛けをするとは。当然、当時の画壇からは酷評を受けますが、こうした試みは、(皮肉にも?)後の印象派にも影響を与えたといわれています。アングルは印象派誕生前夜に亡くなりますが、後のセザンヌ、マティス、ピカソの絵を見たら、この人は怒り狂って卒倒したんじゃないかと思うのですが。

ちなみに、この絵はナポレオンの妹でナポリ王妃になったカロリーヌ・ミュラが注文したものです。結局、彼女の手に渡ることはありませんでしたが、華やかなものを愛したカロリーヌが官能的で美しい女性の絵に魅了される気持ちは分かる気がします。



↓ ↓ いつもご愛読ありがとうございます。おかげさまで人気急上昇中です!


人気ブログランキングへ

0 件のコメント:

コメントを投稿